こんにちは。配当で人生を豊かにしたい転職エージェント、灰藤です。
もっぱら株高であると言い続け、近々調整が入る前提でポートフォリオを組み始めている私ですが、
今回はあえて「株価が適正であるとしたら?」という仮定で、根拠となる理論・概念を挙げていきたいと思います。
目次
今の株価が「理論的には」適正であると言える理由( 多様性予測理論 )
株式トレーダーやアナリストは正しく株価を判断・予測できるか
正しく予測し続けることは難しい
株価は無数の変数によって変動します。直接的な相関関係にある要因もあれば、「風が吹けば桶屋が儲かる」の極致のような要因もあるはずです。
それらを全て読み込まなければ株価は予測できません。
「どのように推移するのか」を予測することさえ、現在の技術水準においては難しいでしょう。
どれだけ最高スペックのコンピュータを駆使したところで、短期・中長期ともに指数を予測することは不可能。
したがって、どれだけ経験に飛んでいる株式トレーダーやアナリストであっても、「正しく」株価を判断・予測することは難しいでしょう。
ましてや、「継続的に」予測し続けることの難易度は非常に高いと思われます。
市場全員の株価の判断・予測も同様か
それでは、我々個人投資家も含んだ「市場全員」として予測した場合はどうでしょうか。
トレーダーやアナリストはそれで飯を食ういわばプロ。そこに我々のような素人が混じったところで、予測の質が上がるわけない。むしろ予測の質が薄まり精度が下がるはずだ、というのが直感ですが、実は異なります。
集団になると予測の精度は上がる
集団の平均予想が個人の予想よりも正確である、という理論的な根拠があります。
理論的な根拠
以下では2つの理論・説を共有します。
①多様性予測理論
多様な予測が集まることは集団としての予想の精度を上げることにつながる(ひいては多様性は個人の能力と等しく集団の予測能力に寄与する)
という理論です。
②効率的市場仮説
現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれており、超過リターン(投資家が取るリスクに見合うリターンを超すリターン)を得ることはできず、株価の予測は不可能であるという理論です。
1つ目の理論: 多様性予測理論 とは
多様な予測が集まることは集団としての予想の精度を上げることにつながる(ひいては多様性は個人の能力と等しく集団の予測能力に寄与する)
という理論です。
以下、それぞれについて詳細は触れますが、ここでは
精度が高くなる=誤差が小さくなる、と整理しているので前提として抑えてくださいませ。
そのうえで、
②集団的誤差 = ①平均個人誤差 ― ③予測多様性
となることから、
冒頭の通り。「誤差は小さいほど予測が正確になるので、多様な予測が集まることは集団としての予想の精度を上げることにつながる、多様性は個人の能力と等しく集団の予測能力に寄与する」という主張になります。
それぞれ見ていきましょう。
①平均個人誤差
予測者Xと予測者Yが、クラスのA君、B君、C君のテストの順位を各自で予測したとしましょう。
予測者X | 予測者Y | |
対象A | 6 | 10 |
対象B | 3 | 7 |
対象C | 5 | 1 |
テストが実際に終わり、予測の正しさが判明します。
誤差を集計しましょう。一般的に誤差を集計するときには、プラスとマイナスが打ち消し合わないように、誤差を2乗して集計します。
予測者Xの二乗誤差は合計20、予測者Yの二乗誤差も合計20となります。
予測者X | 予測者Y | 実際の結果 | 予測者Xの二乗誤差 | 予測者Yの二乗誤差 | |
対象A | 6 | 10 | 6 | 0 | 16 |
対象B | 3 | 7 | 5 | 4 | 4 |
対象C | 5 | 1 | 1 | 16 | 0 |
合計 | 20 | 20 |
予測者X・予測者Yの個人としての予測の正しさを集団レベルで表す指標として、予測者Xと予測者Yの誤差の平均を平均個人誤差と呼ぶこととしましょう。(統計学上は平均二乗誤差と呼ぶことが多いです。)
今回2人とも二乗誤差は20でしたので、平均個人誤差も20となります。
②集団誤差
次に、予測者Xと予測者Yの「集団としての予測のズレ」を計算します。
予測者X・予測者Yの予測の平均と実際の結果とのズレを、こちらも2乗して計算し集計します。
予測者X | 予測者Y | 集団の平均 | 実際の結果 | 集団の誤差 | |
対象A | 6 | 10 | 8 | 6 | 4 |
対象B | 3 | 7 | 5 | 5 | 0 |
対象C | 5 | 1 | 3 | 1 | 4 |
合計 | 8 |
これを集団としての予測の正しさを表す指標とし、集団誤差と呼びます。今回の集団誤差は8です。
③予測多様性
さらに予測者Xと予測者Yの予測の多様性を計算します。
これは、2人の予測の平均(集団平均)と各自の予測との平方差で求め集計します。
予測者X | 予測者Y | 集団の平均 | 予測者Xの予測多様性 | 予測者Yの予測多様性 | |
対象A | 6 | 10 | 8 | 4 | 4 |
対象B | 3 | 7 | 5 | 4 | 4 |
対象C | 5 | 1 | 3 | 4 | 4 |
合計 | 12 | 12 |
今回予測者が2人なので、個人の予測と集団平均との差は予測者X・予測者Yで同じ値となり、それぞれ12です。
平均値の12が予測者X・予測者Yの予測の多様性(バラつき)を表す指標、予測多様性となります。
多様性は、能力と等しく集団パフォーマンスに寄与する
ここで、3つのことに気づきます。
1つ目は、集団誤差は平均個人誤差よりも小さいこと。(8<20)
2つ目は、個人のパフォーマンスの平均より集団の予測の方が正確であるということです。
3つ目は、下記の式が成り立つということです。
集団的誤差 = 平均個人誤差 ― 予測多様性
誤差は小さいほど予測が正確であることを示すので、多様な予測が集まることは集団としての予想の精度を上げることにつながることになります。
多様性は個人の能力と等しく集団の予測能力に寄与するということです。
そういう意味で、どれだけ能力が高い人が予想した株価よりも、集団の意見である実態の株価の方が中長期的に見れば正しいというアウトプットになります。
個々人の予想には誤差が少なからず発生しますが、個々の誤差を打ち消す力が集団にはあるということでしょう。
特に、株式投資のように、「自分のアクション=自分の利害」と直結するような構造であればなおさらです。
ちなみにこの理論を知ったきっかけは、『「多様な意見」はなぜ正しいのか』という書籍です。
集団の予測が個人の予測よりも優れていることを簡単な数式を使って「多様性予測定理」として証明されているところが興味深いです。
なお同様の具体的な事例は他にもあり、
クイズミリオネアのようなクイズ番組では「オーディエンス」という観客の多数決で回答を予想するオプションがありますが、高い正答率を示すことが知られています。
2つ目の理論: 効率的市場仮説 とは
現時点での株式市場には利用可能なすべての新たな情報が直ちに織り込まれており、超過リターン(投資家が取るリスクに見合うリターンを超すリターン)を得ることはできず、株価の予測は不可能であるという学説。
野村証券HPによる
とされています。
効率的市場仮説によると、特定の手法によって儲かるような機会が放置されることはなく、価格変動の予測が困難であるという論理展開になります。
したがって、たとえ専門的な知識や技術をもつファンドマネージャーが銘柄を独自選別するアクティブ運用型のファンドであっても、市場平均に勝つのは難しいということになります。
そういった仮説の元、株価指数連動型インデックスファンドとETF(上場投資信託)が誕生し、目覚ましく普及してきたということでした。
確かにインデックスを上回るパフォーマンスのアクティブファンドは少ないとも言いますし、一定の正しさはありそうです。
これらの理論が機能する条件
上記、要は「自由な市場においては”見えざる手”が自動で最適点に導く」という経済学で言う「均衡」に近い概念と言えます。
しかし、たとえば民主主義における「衆愚政治」という言葉に見られるように、多様性予測理論が働きそうなシーンにおいても、明らかに誤った結末を導くことがあります。
実は、機能するために必要な上限があるといわれています。
①多様性
②分散性
③集約性
④独立性
の4点です。最後にこれらを紹介して終わりたいと思います。
多様性
各々が独自の私的情報を多少なりとも持っていること。全く同じ知識と考えを持つ人が少ないという意味。
分散性
それぞれが多少なりとも特異な意見を持ち、自分で判断する必要がある。
要はこの2つは集団内の多様性を保つための条件ですね
集約性
意見を1つに集約する仕組みが存在していることです。
例えば選挙や株式市場などのシステムのことを指します。
まあ確かにいくら意見がいっぱい出てもまとめるシステムがないと答えが出せないので、必要ですね。
独立性
他者の意見に左右されないことを指します。
せっかくみんながいろんな意見を持ってても、声が大きかったり力が強い人に左右されたら意味ないですからね。
最後に
さきほど挙げた4つの条件が今の株式市場においても担保されているか?が肝要ですが、ここは意見が分かれそうです。
例えば、靴磨きの少年までもが株を買っていたら暴落間近だ、という言説はありますが、まさにそういったいわゆる情報弱者の人たちが市場に参入するにしたがって、株を買う際に周囲の意見に流されすぎるため適正価格をオーバーし、結果的にバブル起きる…という現象の理解が出来そうですね。
皆様はどう思いますか?
やはり株高だと思われるのであれば、私の購入銘柄も参考にいただきながら、調整が入ることを見越した準備を始めましょう。
調整が入る前の現状でも、全体に引っ張られて株価は上がってきています。
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